ホーム / ガイド / 母乳育児ガイド
GUIDE

母乳育児ガイド|授乳のコツ・トラブル対処・混合栄養

2026年3月28日 公開
約12分で読めます
01

母乳育児の基本

母子

母乳は赤ちゃんにとって最適な栄養源であり、WHOと厚生労働省は生後6か月間の完全母乳育児を推奨しています。母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養素がバランスよく含まれているほか、免疫物質(IgA抗体など)が含まれており、感染症の予防にも効果があります。

ただし、母乳育児がすべての母子にとって最善とは限りません。母体の健康状態や生活環境によっては、混合栄養やミルク育児が適切な場合もあります。大切なのは、母子の状況に合った栄養方法を選ぶことです。

母乳のメリット

  • 赤ちゃんの消化器官に適した組成で、消化吸収がよい
  • 免疫物質を含み、感染症や中耳炎のリスクを低減する
  • アレルギー疾患の発症リスクを低減する効果が報告されている
  • 母子のスキンシップを促進し、愛着形成に寄与する
  • 母体の子宮回復を促進し、産後出血を減少させる
参考
02

授乳の姿勢とコツ

正しい授乳姿勢と赤ちゃんの吸着(ラッチオン)は、効果的な母乳育児の基本です。姿勢が適切でないと、乳頭の痛みや傷、母乳の出が悪くなる原因となります。

基本的な授乳姿勢

  • 横抱き(クレードル):最も一般的な姿勢。赤ちゃんの体全体を支え、おなかとおなかを向かい合わせにする
  • 交差横抱き(クロスクレードル):授乳する側と反対の手で赤ちゃんの頭を支える。新生児期に適した姿勢
  • フットボール抱き:赤ちゃんを脇に抱える姿勢。帝王切開後や乳房が大きい方に適している
  • 添い乳:横になったまま授乳する姿勢。夜間の授乳や疲れているときに便利

正しいラッチオンのポイント

  1. 赤ちゃんの口を大きく開けさせる
  2. 乳輪部分まで深くくわえさせる(乳首だけでは不十分)
  3. 赤ちゃんの下唇が外側にめくれた状態になっていることを確認する
  4. 授乳中に痛みが続く場合は、一度外してやり直す
授乳の頻度と時間
新生児期は1日8回から12回程度の頻回授乳が基本です。赤ちゃんが欲しがるサインを見せたら授乳する「自律授乳」が推奨されています。1回の授乳時間は片側10分から15分が目安ですが、赤ちゃんのペースに合わせましょう。
03

トラブルの対処法

母乳育児では、乳頭の痛みや乳腺炎などのトラブルが起きることがあります。早期に対処することで、深刻な状態を防ぐことができます。

乳頭の痛み・傷

授乳開始直後に多いトラブルです。原因のほとんどは赤ちゃんの吸着(ラッチオン)が浅いことです。授乳姿勢を見直し、乳輪まで深くくわえさせることで改善します。傷ができた場合は、授乳後にランシノー(羊毛脂)を塗布して保湿するのが効果的です。

乳腺炎

乳腺が詰まり、炎症を起こす状態です。乳房の一部が赤く腫れ、痛みと発熱を伴います。初期段階では頻回授乳や搾乳で詰まりを解消できますが、38.5度以上の発熱が続く場合は細菌感染の可能性があり、医療機関の受診が必要です。

母乳不足感

「母乳が足りていないのではないか」という不安は多くの母親が経験します。赤ちゃんの体重増加が1日あたり20g以上あり、1日6回以上のおしっこが確認できていれば、母乳は十分に出ている可能性が高いです。不安な場合は、助産師や母乳外来に相談しましょう。

参考
04

混合栄養の進め方

混合栄養は、母乳とミルク(人工乳)を併用する栄養方法です。母乳の分泌量が十分でない場合、仕事復帰に備える場合、または母体の体調管理のために選択されます。日本では約半数の母親が混合栄養を実践しています。

混合栄養のパターン

  • 毎回の授乳で母乳の後にミルクを追加する方法
  • 授乳の回ごとに母乳とミルクを交互にする方法
  • 日中はミルク、夜間は母乳にする方法

ミルクの追加量の目安

ミルクの追加量は赤ちゃんの体重増加と授乳の様子を見ながら調整します。最初は1回あたり20mlから40mlを追加し、赤ちゃんの反応を観察しましょう。母乳の分泌量を維持するためには、ミルクを追加する前に必ず母乳を先に与えることが重要です。

哺乳瓶の選び方
混合栄養では、乳頭混乱(哺乳瓶の方が楽なため母乳を嫌がるようになること)を防ぐために、母乳の飲み方に近い形状の乳首を選ぶとよいでしょう。流量が緩やかなものを選び、赤ちゃんが自分のペースで飲めるようにすることが大切です。
05

断乳・卒乳

断乳は親の意思で授乳を終了すること、卒乳は子ども自身が自然に母乳を必要としなくなることを指します。どちらの方法でも、母子双方の心身に無理のないタイミングで進めることが大切です。

断乳・卒乳の時期

WHOは2歳以上まで母乳育児を続けることを推奨していますが、実際の断乳・卒乳時期は家庭の状況によってさまざまです。離乳食が3回食になり、食事から十分な栄養が摂れるようになった1歳前後が一つの目安とされています。仕事復帰のタイミングに合わせて断乳を計画する方も多くいます。

断乳の進め方

  1. 授乳回数を1日1回ずつ減らしていく
  2. 日中の授乳から減らし、寝かしつけの授乳を最後にする
  3. 断乳後に乳房が張る場合は、軽く搾乳して圧を逃がす
  4. 数日から1週間で乳房の張りは落ち着くことが多い

断乳後に乳房のしこりや痛みが続く場合は、助産師や母乳外来でおっぱいケアを受けることをおすすめします。

06

授乳中の食事と薬

授乳中の食事は基本的に妊娠前と同じくバランスのよい食事を心がければ問題ありません。ただし、授乳中は通常より多くのエネルギーが必要になるため、極端な食事制限は避けましょう。付加エネルギー量として1日あたり+350kcalが推奨されています。

授乳中の食事のポイント

  • 水分を十分に摂取する(1日2リットル以上が目安)
  • カルシウムや鉄分を意識的に摂る
  • カフェインは1日200mg以下に抑える
  • アルコールは母乳に移行するため控える

授乳中の服薬

授乳中に服薬が必要な場合は、必ず医師や薬剤師に授乳中であることを伝えましょう。多くの薬は母乳への移行量が少なく、授乳を継続しながら服用できます。自己判断で服薬を避けたり、授乳を中断したりすることは、かえって母体の健康を損なう可能性があります。

授乳と薬の相談窓口
国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」では、授乳中の薬の安全性に関する相談を受け付けています。かかりつけ医に相談した上で、さらに専門的な情報が必要な場合に活用できます。
参考
お住まいの地域の子育て支援情報を調べる
全国の市区町村の子育て支援情報を比較できます