ホーム / ガイド / 子どもの食物アレルギーガイド
GUIDE

子どもの食物アレルギーガイド|症状・検査・対応食

2026年3月28日 公開
約10分で読めます
01

食物アレルギーとは

食物アレルギー

食物アレルギーは、本来は無害な食べ物に対して免疫システムが過剰に反応し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。日本では乳幼児の約5〜10%に食物アレルギーがあるとされ、小児科領域で最も身近なアレルギー疾患のひとつです。

発症のメカニズム

食物に含まれるタンパク質が体内に入ると、免疫システムがこれを異物と認識し、IgE抗体を産生します。再度同じ食物を摂取したときにIgE抗体がマスト細胞と結合し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることで症状が現れます。

年齢による変化

乳幼児期に発症した食物アレルギーの多くは、成長とともに耐性を獲得し、自然に改善します。鶏卵アレルギーは約70%が6歳までに、牛乳アレルギーは約50%が3歳までに改善するとされています。一方、ナッツ類やそばのアレルギーは治りにくい傾向があります。

参考
02

主な原因食品と症状

食物アレルギーの原因となる食品は年齢によって異なります。0歳児では鶏卵・牛乳・小麦が三大原因食品であり、学童期以降は甲殻類やナッツ類、果物による新規発症が増加します。

年齢別の主な原因食品

  • 0歳:鶏卵(最多)、牛乳、小麦
  • 1〜2歳:鶏卵、牛乳、小麦、魚卵(いくら)
  • 3〜6歳:鶏卵、牛乳、ナッツ類、果物
  • 7歳以上:甲殻類、果物、ナッツ類、小麦

主な症状

  • 皮膚症状:じんましん、発赤、かゆみ(最も多い症状で全体の約80〜90%)
  • 消化器症状:腹痛、嘔吐、下痢
  • 呼吸器症状:くしゃみ、鼻水、咳、喘鳴(ゼーゼー)、呼吸困難
  • 粘膜症状:口腔内のかゆみ・腫れ、目の充血
  • 全身症状(アナフィラキシー):複数の臓器に症状が出現、血圧低下、意識障害
症状の出現時間
食物アレルギーの症状は、原因食品を摂取してから通常2時間以内に出現します(即時型)。まれに数時間から翌日以降に症状が現れる遅延型もあります。
参考
03

検査方法

食物アレルギーの診断は、問診と検査を組み合わせて総合的に判断されます。検査結果だけで診断が確定するわけではなく、実際の症状との関連が重要です。

主な検査方法

  • 血液検査(特異的IgE抗体検査):原因が疑われる食物に対するIgE抗体の量を測定する。陽性でも必ずしも症状が出るとは限らない
  • 皮膚プリックテスト:皮膚に微量のアレルゲンを接触させ、反応を観察する。15〜20分で結果が判明
  • 食物経口負荷試験:原因と疑われる食物を実際に少量から段階的に摂取し、症状が出るかを確認する。食物アレルギーの確定診断において最も信頼性が高い検査

食物経口負荷試験について

食物経口負荷試験はアレルギー専門医のいる医療機関で実施されます。アナフィラキシーなどの重篤な症状に対応できる体制のもとで行うため、多くの場合は日帰り入院または外来で実施します。この検査により、摂取可能な量(閾値)を確認できるため、不必要な食物除去を避けることにもつながります。

参考
04

除去食と代替食

食物アレルギーと診断された場合、原因食品の除去が基本的な対応となります。ただし、医師の指導のもとで「必要最小限の除去」を行うことが現在の治療方針の基本です。

除去食の基本的な考え方

  • 医師の指示なく自己判断で除去しない
  • 食べられる範囲(加熱すれば食べられる、少量なら食べられるなど)を確認する
  • 定期的に食物経口負荷試験を受け、除去の見直しを行う
  • 栄養の偏りが出ないよう代替食品を活用する

主な代替食品の例

  • 鶏卵の代替:かぼちゃやさつまいもでつなぎに、豆腐や片栗粉で卵とじ風に
  • 牛乳の代替:豆乳、アレルギー用ミルク(加水分解乳)、ライスミルク
  • 小麦の代替:米粉、タピオカ粉、コーンフレーク
栄養面の注意
複数の食品を除去する場合は、管理栄養士による栄養指導を受けることが推奨されます。特に牛乳を除去している場合はカルシウム不足に注意が必要です。
参考
05

保育園・学校での対応

集団生活では誤食のリスクがあるため、保護者と施設が連携して安全な対応を整える必要があります。2015年に文部科学省が策定した「学校給食における食物アレルギー対応指針」に基づき、多くの施設で対応体制が整備されています。

必要な書類

  • 食物アレルギー生活管理指導表(医師が記入する公的書類)
  • 緊急時個別対応票(症状出現時の対応手順を記載)
  • エピペン(アドレナリン自己注射薬)の使用に関する同意書(処方されている場合)

給食の対応方法

  • 完全除去対応:原因食品を完全に除いた給食を提供
  • 弁当対応:除去が複雑な場合、一部または全部を弁当に替える
  • 詳細献立表の事前配布:保護者が個別に確認できるようにする
参考
06

アナフィラキシーの対処

アナフィラキシーは、アレルゲンへの暴露後に複数の臓器に急速に症状が現れる重篤なアレルギー反応です。対処が遅れると命に関わるため、事前に対処法を把握しておくことが不可欠です。

アナフィラキシーの症状

  • 皮膚:広範囲のじんましん、全身の紅潮
  • 呼吸器:喉の締め付け感、声がれ、喘鳴、呼吸困難
  • 消化器:繰り返す嘔吐、持続する腹痛
  • 循環器:血圧低下、顔面蒼白、意識もうろう

エピペン(アドレナリン自己注射薬)の使い方

  • 太ももの外側に衣服の上からでも注射できる
  • 安全キャップを外し、太ももに押し当てて「カチッ」と音がするまで押す
  • 注射後は直ちに119番通報し、救急搬送を要請する
  • 使用後も症状が改善しない場合は、15分後に2本目を使用できる(2本処方されている場合)
迷ったら打つ
エピペンの使用に迷う場合は「打って後悔するより、打たずに後悔する方が危険」というのが専門家の共通見解です。打つべきか判断に迷ったときは、打つことが推奨されています。
参考
お住まいの地域の子育て支援情報を調べる
全国の市区町村の子育て支援情報を比較できます