GUIDE
子どものメンタルヘルス|ストレスサイン・不登校・相談先
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子どものメンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、心の健康状態のことです。子どもも大人と同様にストレスや不安を感じますが、それを言葉で表現する力が未発達なため、行動や身体症状として現れることが多いのが特徴です。
子どものメンタルヘルスの現状
文部科学省の調査によると、不登校の小中学生は2022年度に約29万9千人に達し、過去最多を更新しました。また、10代の自殺者数も増加傾向にあり、子どものメンタルヘルスへの関心と対策の重要性が高まっています。
子どもに多い心の問題
- 不安障害(分離不安、社交不安、全般性不安など)
- うつ状態・うつ病
- 適応障害(環境の変化に対する過剰な反応)
- 心身症(ストレスが身体症状として現れるもの)
- 摂食障害(思春期以降に多い)
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ストレスサインの見分け方
子どもは自分のつらさを的確に言語化できないことが多いため、保護者が日常の変化に気づくことが早期発見につながります。以下のようなサインが見られたら注意が必要です。
行動面の変化
- 急に甘えるようになる、赤ちゃん返りをする
- 攻撃的になる、友達とのトラブルが増える
- 以前は楽しんでいた活動に興味を示さなくなる
- 一人でいることが増える、引きこもりがちになる
- チック(まばたき、首振りなど)が現れる
身体面の変化
- 頭痛、腹痛、吐き気などの身体症状(検査で異常が見つからない場合は心因性の可能性)
- 食欲の急激な変化(食べなくなる、または食べすぎる)
- 睡眠の変化(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、悪夢を見る)
- おねしょの再発
学習面の変化
- 成績の急激な低下
- 集中力の低下、忘れ物の増加
- 学校に行きたがらない
変化の「急激さ」に注目する
もともとの性格や個性として見られる特徴と、急に現れた変化は区別して捉える必要があります。「いつもと違う」「急に変わった」という変化が2週間以上続く場合は、専門家に相談することを検討しましょう。
参考
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不登校の初期対応
不登校は、年間30日以上学校を欠席している状態を指します。不登校の背景はさまざまで、いじめ、学業不振、家庭環境、発達特性、心身の不調などが複合的に関わっていることが多くあります。
初期対応のポイント
- 「学校に行きなさい」と強制しない(登校を強いることは逆効果になることが多い)
- 子どもの話を否定せず、まずは聞く姿勢を見せる
- 「あなたのせいではない」というメッセージを伝える
- 生活リズムを大きく崩さないようにする(起床・食事の時間を維持)
- 担任やスクールカウンセラーと早めに連絡を取る
学校以外の学びの場
- 教育支援センター(適応指導教室):市区町村が設置する公的な施設で、通所すると出席扱いになる場合がある
- フリースクール:NPO法人などが運営する民間の学びの場。費用は施設により異なる
- ICTを活用した在宅学習:一定の要件を満たせば出席扱いとなる制度がある
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いじめへの対処
いじめは子どものメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼします。いじめ防止対策推進法により、学校にはいじめの早期発見と対処の義務が課されていますが、保護者の気づきと適切な対応も不可欠です。
いじめのサイン
- 持ち物がなくなる、壊れている
- 衣服が汚れたり破れたりしている
- 友達の話をしなくなる、特定の友達の名前を避ける
- 学校の話を一切しなくなる
- 急にお金を欲しがる
- スマートフォンやSNSを見て急に落ち込む(ネットいじめの可能性)
保護者の対応
- 子どもの話を最後まで聞き、「話してくれてありがとう」と伝える
- 事実関係を整理し、日時・場所・内容を記録する
- 学校(担任、学年主任、管理職)に相談する
- 学校の対応が不十分な場合は、教育委員会に相談する
- 必要に応じて、法務局の「子どもの人権110番」(0120-007-110)に相談する
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相談窓口一覧
子どものメンタルヘルスに関して相談できる窓口は複数あります。状況に応じて適切な窓口を利用しましょう。
電話相談
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間対応、子ども・若者・保護者の相談全般
- チャイルドライン(0120-99-7777):18歳以下の子ども専用、毎日16時〜21時
- 子どもの人権110番(0120-007-110):法務局が運営、いじめや虐待の相談
- #8000(小児救急電話相談):夜間・休日の子どもの急な体調不良の相談
対面相談
- スクールカウンセラー:学校に配置されている心理の専門家。保護者も相談可能
- 教育相談センター:市区町村や都道府県が設置する相談施設
- 児童相談所:18歳未満の子どもに関するあらゆる相談に対応(虐待通告は189)
- 精神保健福祉センター:心の健康に関する専門的な相談機関
医療機関
- 小児科(かかりつけ医への相談が第一歩)
- 児童精神科・小児心療内科(専門的な診断と治療)
相談のハードルを下げるために
「こんなことで相談してもいいのか」と迷う方もいますが、どの窓口も「相談すること自体を歓迎」しています。小さな不安の段階で相談することが、問題の深刻化を防ぎます。
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家庭でできるサポート
子どものメンタルヘルスを守るうえで、家庭環境と保護者の関わり方は非常に重要です。特別な専門知識がなくても、日常のコミュニケーションを通じてできることがあります。
安心できる家庭環境を作る
- 子どもが「何を言っても受け止めてもらえる」という安心感を持てるようにする
- 食事の時間を家族で共にし、日常的に会話する機会を作る
- 子どもの話を途中で遮らず、最後まで聞く
- 感情を否定しない(「泣くな」「怒るな」ではなく「悲しかったんだね」と受け止める)
自己肯定感を育てる関わり
- 結果ではなく、努力や過程をほめる
- 他の子や兄弟と比較しない
- 子ども自身に選択させる場面を作る(主体性の尊重)
- 「あなたがいてくれてうれしい」という存在そのものの肯定を伝える
保護者自身のケア
子どもの問題に向き合うなかで、保護者自身が疲弊することは珍しくありません。保護者が心身ともに健康であることが、子どもの安定にもつながります。周囲に助けを求めること、自分の時間を確保することも大切なケアのひとつです。