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不妊治療の助成金ガイド 保険適用と自治体の上乗せ助成

2026年3月28日 公開
約10分で読めます
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不妊治療の保険適用について

医療

2022年4月から、これまで自由診療だった体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療(生殖補助医療)が公的医療保険の適用対象となりました。これにより、患者の自己負担は原則3割となり、以前と比べて大幅に費用が軽減されています。

保険適用以前は、国の「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として助成金が支給されていましたが、保険適用後はこの制度は廃止されました。代わりに、保険適用後の自己負担分をさらに軽減するため、独自の上乗せ助成制度を設ける自治体が増えています。

保険適用の背景
日本では2022年時点で約4.4組に1組のカップルが不妊の検査・治療を受けたことがあるとされています。体外受精による出生児数は年間約7万人にのぼり、全出生児の約11人に1人を占めます。経済的な理由で治療を断念するケースを減らすため、保険適用が実現しました。
参考
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保険適用となる治療と年齢制限

保険が適用される不妊治療の範囲と、年齢や回数の制限について解説します。

保険適用となる主な治療

  • 一般不妊治療:タイミング法、人工授精
  • 生殖補助医療:体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)
  • 男性不妊治療:精巣内精子採取術(TESE)など
  • 関連する検査・薬剤・処置(採卵、胚移植、胚凍結保存など)

年齢制限

保険適用で生殖補助医療を受けられるのは、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満の場合に限られます。一般不妊治療(タイミング法・人工授精)には年齢制限はありません。

回数制限

  • 治療開始時に女性が40歳未満:通算6回まで(1子あたり)
  • 治療開始時に女性が40歳以上43歳未満:通算3回まで(1子あたり)
  • 回数は「胚移植」の回数でカウントされる
  • 第2子以降の治療ではカウントがリセットされる
保険適用外の治療について
先進医療として認められた一部の治療法は、保険診療と併用する「混合診療」が認められています(保険診療分は保険適用、先進医療分は自費)。ただし、先進医療として認められていない自由診療を保険診療と併用することはできません。その場合は全額自費となるため、医療機関に事前に確認しましょう。
参考
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費用の目安と自己負担

保険適用後の不妊治療にかかる費用の目安を紹介します。実際の費用は医療機関や治療内容により異なります。

治療法別の費用目安(3割負担の場合)

  • タイミング法:1周期あたり数千円から1万円程度
  • 人工授精:1回あたり5,000円から2万円程度
  • 体外受精(採卵から胚移植まで):1周期あたり10万円から20万円程度
  • 顕微授精:1周期あたり15万円から25万円程度

高額療養費制度の活用

保険適用の不妊治療には高額療養費制度が適用されます。1か月の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻されます。上限額は所得に応じて異なりますが、一般的な所得の方で約8万円程度です。

限度額適用認定証

事前に加入している健康保険に「限度額適用認定証」を申請しておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。高額になりやすい採卵や胚移植の周期では、忘れずに申請しておきましょう。

医療費控除も忘れずに
不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になります。1年間の医療費が10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合、確定申告で税金の一部が還付されます。治療費の領収書は必ず保管しておきましょう。保険適用分だけでなく、自費診療分や通院交通費も対象になります。
参考
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自治体の上乗せ助成制度

保険適用後も自己負担が生じるため、独自に上乗せ助成を実施する自治体が増えています。助成内容は自治体によって大きく異なります。

上乗せ助成の主な形態

  • 保険適用治療の自己負担分を助成(全額または一部)
  • 先進医療にかかる費用の助成
  • 保険適用外の治療費の助成(43歳以上の方への助成など)
  • 不妊検査費用の助成
  • 交通費・宿泊費の助成(近隣に医療機関がない地域)

助成額の例

  • 東京都:保険診療の特定不妊治療と併用して実施された先進医療の費用について、費用の7/10(上限15万円)を助成
  • 大阪市:保険診療の特定不妊治療と併用して実施された先進医療の費用について、費用の7/10(上限5万円)を助成
  • 一部の町村では自己負担分の全額を助成するケースもある

申請時の注意点

  • 治療終了日から申請期限が設けられている(6か月以内など)
  • 助成を受けるには事前申請が必要な自治体もある
  • 所得制限を設けている自治体がある
  • 他の助成制度との併給調整がある場合がある

お住まいの自治体の助成制度については、市区町村の公式サイトや子育て支援課に確認することをおすすめします。

参考
都道府県から市区町村の支援情報を探す
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不妊治療と仕事の両立支援

不妊治療は通院回数が多く、治療スケジュールの予測が難しいため、仕事との両立に悩む方が少なくありません。国や企業による両立支援制度を活用しましょう。

不妊治療連絡カード

厚生労働省が作成した「不妊治療連絡カード」は、治療を受けていることや必要な配慮を勤務先に伝えるためのツールです。主治医に記入してもらい、会社に提出することで、通院のための休暇取得や勤務時間の調整がスムーズになります。

企業の両立支援制度

  • 不妊治療休暇(特別休暇として整備する企業が増加)
  • 時差出勤やフレックスタイムの活用
  • テレワークの活用
  • 短時間勤務制度の適用

くるみん・トライくるみん認定

不妊治療と仕事の両立支援に取り組む企業は「くるみんプラス」や「トライくるみん」の認定を受けることができます。就職・転職の際に、企業の不妊治療支援の姿勢を確認する指標の一つになります。

両立が困難な場合の支援
不妊治療のために退職せざるを得なかった方が再就職を目指す場合、ハローワークの就職支援や自治体の就労支援を利用できます。また、治療と仕事の両立に悩んだ際は、不妊専門相談センター(各都道府県に設置)に相談することもできます。
参考
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治療を始める前に知っておきたいこと

不妊治療を検討している方に向けて、治療を始める前に知っておきたいポイントをまとめます。

医療機関の選び方

  • 日本産科婦人科学会に登録されている施設かどうか
  • 通院のしやすさ(治療中は頻繁な通院が必要)
  • 治療実績や成功率(施設ごとの治療成績は日本産科婦人科学会のサイトで公開)
  • カウンセリング体制が整っているか
  • 保険適用治療に対応しているか

不妊専門相談センター

各都道府県・指定都市・中核市に設置されている「不妊専門相談センター」では、不妊治療に関する医学的な相談や、精神的な悩みの相談を無料で受けることができます。治療を始めるかどうか迷っている段階でも利用可能です。

パートナーとの話し合い

不妊治療は身体的・精神的・経済的に負担がかかるため、パートナーと治療方針や費用の上限、治療期間の目安について事前に話し合っておくことが大切です。男性側の検査も同時に行うことで、より効率的な治療計画を立てられます。

参考
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