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医療的ケア児の支援制度ガイド 福祉サービス・保育・教育

2026年3月28日 公開
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医療的ケア児とは

医療的ケア

医療的ケア児とは、日常生活を送るうえで、人工呼吸器の管理、たんの吸引、経管栄養、導尿などの医療的なケアを必要とする子どものことです。2021年に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(医療的ケア児支援法)により、法律上の定義が明確化されました。

全国の医療的ケア児は推計約2万人とされ、新生児医療の進歩に伴い年々増加しています。医療的ケア児の中には、知的障害や肢体不自由を伴う子どももいますが、歩行や会話が可能で知的発達に遅れのない子どももおり、その状態像は多様です。

医療的ケア児支援法では、国および地方公共団体に対し、医療的ケア児とその家族が適切な支援を受けられるよう施策を講じる責務があることが明記されています。

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利用できる福祉サービス

医療的ケア児が利用できる福祉サービスは、障害者総合支援法および児童福祉法に基づいて提供されます。サービスの利用には、市区町村から「通所受給者証」または「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。

主な福祉サービス

  • 児童発達支援:未就学の障害児に対する発達支援・療育
  • 放課後等デイサービス:就学中の障害児に対する放課後の支援
  • 居宅介護(ホームヘルプ):自宅での介護や家事支援
  • 短期入所(ショートステイ):一時的な宿泊を伴う預かり
  • 日中一時支援:日中の一時的な預かり
  • 訪問看護:看護師が自宅を訪問して医療的ケアを実施

障害福祉サービスの利用手続き

  1. 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
  2. 相談支援専門員によるアセスメント
  3. サービス等利用計画の作成
  4. 支給決定・受給者証の交付
  5. 各事業所との利用契約
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保育園の受け入れ

医療的ケア児支援法により、保育所等における医療的ケア児の受け入れ体制の整備が自治体の責務として明確化されました。看護師等の配置により、医療的ケアが必要な子どもの保育園利用が広がりつつあります。

受け入れ体制の整備

医療的ケア児を受け入れる保育園には、看護師の配置が必要です。国は「医療的ケア児保育支援事業」を通じて、看護師等の配置に係る費用を補助しています。しかし、受け入れ可能な保育園はまだ限られており、地域による格差が大きいのが現状です。

利用申請の流れ

通常の保育利用申請に加え、医療的ケアの内容や必要な体制について、市区町村の保育担当部署と障害福祉担当部署の双方に相談する必要があります。主治医の意見書をもとに、保育園での対応可能性が検討されます。

保育園での医療的ケアの実施

保育園での医療的ケアは、看護師が実施するのが原則です。たんの吸引や経管栄養など、一部の行為については研修を受けた保育士も実施できますが、実施できる行為の範囲は限定されています。

保育園が見つからない場合
医療的ケアの内容や地域の体制によっては、受け入れ可能な保育園がすぐに見つからない場合があります。居宅訪問型保育や児童発達支援事業所の利用も含め、複数の選択肢を検討しましょう。
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学校教育での支援

医療的ケア児の就学にあたっては、学校における医療的ケアの実施体制の整備が重要です。文部科学省は「学校における医療的ケアの今後の対応について」(通知)を発出し、各自治体に体制整備を求めています。

学校への看護師等の配置

医療的ケアを実施するために、学校に看護師や准看護師(医療的ケア看護職員)が配置されます。国は補助事業を通じて配置を支援しており、2025年時点で全国に約3,000人の医療的ケア看護職員が配置されています。

通常の学級での就学

医療的ケアが必要であっても、知的発達に遅れがなければ通常の学級に就学することが可能です。看護師の配置や施設のバリアフリー化など、必要な環境整備を学校と教育委員会に求めることができます。

特別支援学校での教育

重度の医療的ケアが必要な子どもの場合、特別支援学校に就学するケースもあります。特別支援学校では看護師の配置が充実しており、個別の状態に応じたきめ細かな対応が可能です。通学が困難な場合は訪問教育も利用できます。

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居宅訪問型保育

居宅訪問型保育は、保育を必要とする乳幼児の自宅に保育者が訪問して保育を行うサービスです。医療的ケア児のように、集団保育が困難な子どもにとって重要な選択肢です。

サービスの概要

子ども・子育て支援新制度に基づく地域型保育事業の一つとして位置づけられています。保育者が子どもの自宅を訪問し、1対1の保育を行います。利用時間や日数は個別に設定されます。

対象となる子ども

  • 障害や疾患などにより集団保育が困難な子ども
  • 医療的ケアが必要で保育園等での受け入れが困難な子ども
  • ひとり親家庭などで夜間の保育が必要な子ども

費用

認可事業として実施される場合、利用者負担は保育料の基準に準じます。幼児教育・保育の無償化の対象にも含まれるため、3歳から5歳の子どもは利用料が無償となります。

実施状況

居宅訪問型保育を実施している自治体はまだ限定的です。お住まいの自治体で実施されているか、保育担当窓口に確認しましょう。実施されていない場合は、ファミリーサポートセンターやベビーシッターの利用助成制度を検討する方法もあります。

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家族支援と相談先

医療的ケア児の養育は、家族に大きな身体的・精神的負担がかかります。家族が孤立せず、適切な支援を受けながら養育を続けられる環境を整えることが重要です。

医療的ケア児支援センター

医療的ケア児支援法に基づき、各都道府県に「医療的ケア児支援センター」が設置されています。医療的ケア児とその家族からの相談に応じ、関係機関との連絡調整、情報提供、助言などを行います。

医療的ケア児コーディネーター

医療、福祉、教育など多分野にわたる支援を調整する専門職です。個別の支援計画の作成や関係機関との連携をサポートします。相談支援事業所を通じて利用できます。

レスパイトケア

短期入所(ショートステイ)や日中一時支援を利用して、家族が休息をとる時間を確保することが大切です。特に医療型短期入所は医療的ケアに対応できる施設で実施されますが、受け入れ先が不足している地域も多いため、早めの情報収集と登録をお勧めします。

家族会・ピアサポート

同じ立場の家族と交流することで、情報交換や心理的な支え合いが得られます。全国的な家族会のほか、地域やケアの内容ごとに活動する団体もあります。医療的ケア児支援センターで紹介を受けることができます。

一人で抱え込まないでください
医療的ケア児の養育は、家族だけで担うものではありません。利用できるサービスや支援制度を最大限活用し、専門家や地域の力を借りながら、家族全体が健やかに過ごせる環境を整えましょう。
参考
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