子ども医療費助成制度とは? 自治体で異なる対象年齢と負担額
子ども医療費助成制度の概要
子ども医療費助成制度は、子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分を、自治体が助成(補助)する制度です。国の制度ではなく、各都道府県や市区町村が独自に実施しています。名称も「乳幼児医療費助成」「子ども医療費助成」「マル乳」「マル子」など、自治体によってさまざまです。
日本の医療保険制度では、小学校入学前の子どもの窓口負担は2割、小学生以上は3割と定められています。子ども医療費助成制度は、この自己負担分の全部または一部を自治体が肩代わりしてくれる仕組みです。
すべての都道府県が何らかの形で子ども医療費助成を実施していますが、対象年齢、所得制限の有無、自己負担額の設定などは自治体ごとに大きく異なります。同じ都道府県内でも、市区町村によって内容が異なることがあるため、お住まいの自治体の制度を確認することが重要です。
自治体による違い
子ども医療費助成制度は全国一律ではないため、自治体によって内容に大きな差があります。引っ越しや住む場所を検討する際には、医療費助成の内容も判断材料になります。
対象年齢の違い
助成の対象年齢は自治体によって異なります。近年は対象年齢を拡大する自治体が増えています。
- 就学前まで:一部の自治体(都道府県の基準のみの場合)
- 小学校卒業まで:少数の自治体
- 中学校卒業まで:多くの自治体が採用
- 高校卒業まで(18歳の年度末まで):増加傾向にある
- 大学生年代まで(22歳まで):一部の自治体で導入
こども家庭庁の調査(令和7年4月1日現在)によると、市区町村では通院・入院ともに18歳年度末(高校卒業)までを助成対象とする自治体が最も多く、9割以上に達しています。
所得制限の有無
所得制限を設けている自治体と、設けていない自治体があります。全国的には所得制限を撤廃する傾向にあり、東京都では2023年度から都の助成において所得制限が撤廃されました。所得制限がある場合、世帯の所得が一定額を超えると助成の対象外となります。
自己負担額の違い
医療費が完全に無料(自己負担なし)の自治体もあれば、通院1回あたり200円から500円程度の自己負担を求める自治体もあります。入院と通院で自己負担額が異なる場合や、調剤(薬代)は無料だが診察には自己負担があるといった複雑な設定の自治体もあります。
通院と入院の違い
通院と入院で助成の対象年齢が異なる自治体もあります。例えば、通院は中学校卒業まで、入院は高校卒業までといった設定です。一般的に入院の方が対象年齢が広く設定される傾向にあります。
対象となる医療費
子ども医療費助成制度で助成される医療費と、対象外となる費用を正確に理解しておきましょう。
助成の対象となるもの
- 病院やクリニックでの診察費(保険診療分の自己負担)
- 処方薬の薬代(保険適用の調剤)
- 入院時の医療費(保険診療分の自己負担)
- 訪問看護の利用料(保険適用分)
- 治療に必要な装具(コルセットなど、保険適用分)
助成の対象とならないもの
- 保険外診療(自由診療)の費用
- 入院時の食事代(入院時食事療養費の標準負担額)
- 差額ベッド代(個室料金など)
- 任意の予防接種費用
- 健康診断や人間ドックの費用
- 診断書などの文書料
- 薬の容器代
- 交通費
他の公費負担医療との関係
未熟児養育医療、自立支援医療(育成医療)、小児慢性特定疾病医療など、国の公費負担医療制度の対象となる場合は、そちらが優先して適用されます。公費負担医療を適用した後に残った自己負担分について、子ども医療費助成が適用されるケースが多いです。
受給者証の使い方
子ども医療費助成を受けるためには、「受給者証」(医療証)を取得し、医療機関の窓口で提示する必要があります。
受給者証の申請方法
- 子どもの健康保険証が届いたら、お住まいの市区町村の窓口で申請する
- 申請書、子どもの健康保険証、保護者のマイナンバーがわかるもの等を提出
- 受給者証が交付される(即日交付の自治体も多い)
出生届の提出時に同時に申請できる自治体も多いため、出産後の手続きリストに加えておきましょう。
受診時の使い方
医療機関を受診する際に、健康保険証と一緒に受給者証を窓口に提示します。これにより、窓口での自己負担が軽減または無料になります(現物給付方式)。
ただし、一部の自治体では「償還払い方式」を採用しており、窓口でいったん自己負担分を支払い、後日申請して払い戻しを受ける仕組みになっています。近年は現物給付方式に移行する自治体が増えていますが、お住まいの自治体の方式を確認しておきましょう。
都道府県外の医療機関を受診した場合
旅行先や帰省先など、受給者証を発行した自治体の都道府県外の医療機関では、受給者証が使えないことがほとんどです。この場合は、窓口で通常の自己負担分を支払い、後日お住まいの自治体に領収書を添えて申請すると、助成分が払い戻されます。
引っ越し時の手続き
引っ越しをすると、子ども医療費助成の手続きが必要になります。転出と転入それぞれで手続きが発生するため、忘れないように注意しましょう。
同一市区町村内での引っ越し
同じ市区町村内での引っ越しの場合は、住所変更届を提出すれば、受給者証はそのまま使える場合がほとんどです。ただし、住所が印字されている受給者証の場合は再発行が必要になることがあります。
他の市区町村への引っ越し
- 転出する市区町村で受給者証を返却し、資格喪失の手続きを行う
- 転入先の市区町村で新たに受給者証の交付申請を行う
- 新しい受給者証が届くまでの間に受診した場合は、領収書を保管しておく
転入先の自治体では、助成の内容が以前の自治体と異なる場合があります。対象年齢が狭くなったり、自己負担額が変わったりすることもあるため、事前に転入先の制度を確認しておくことをおすすめします。
引っ越しの際に確認したいポイント
- 転入先の助成対象年齢(通院・入院それぞれ)
- 所得制限の有無と基準額
- 自己負担額の設定
- 現物給付か償還払いか
- 受給者証の交付までにかかる日数
医療費助成以外の子どもの医療支援
子ども医療費助成のほかにも、子どもの医療に関する公的な支援制度があります。該当する場合は併せて活用しましょう。
未熟児養育医療
出生時の体重が2,000g以下の場合や、医師が入院養育が必要と認めた未熟児(1歳未満)を対象に、指定医療機関での入院医療費を公費で負担する制度です。市区町村の窓口で申請します。
小児慢性特定疾病医療費助成
悪性新生物、慢性腎疾患、慢性心疾患、内分泌疾患など、国が指定する小児慢性特定疾病にかかっている18歳未満の子ども(引き続き治療が必要な場合は20歳未満)を対象に、医療費の自己負担を軽減する制度です。都道府県・指定都市の窓口で申請します。
自立支援医療(育成医療)
身体に障害のある18歳未満の子どもが、その障害を軽減するための手術等の治療を受ける場合に、医療費の自己負担を軽減する制度です。口唇裂や心臓疾患の手術などが対象となります。
予防接種
定期接種の予防接種は原則無料で受けられます。BCG、四種混合、MR(麻しん・風しん)、日本脳炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、B型肝炎、ロタウイルスなどが定期接種に含まれます。2024年度からは、従来任意接種だった一部のワクチンも定期接種化が進んでいます。
乳幼児健診
1歳6か月児健診と3歳児健診は母子保健法で義務付けられており、無料で受けられます。それ以外にも3から4か月児健診、9から10か月児健診などを実施している自治体が多く、子どもの発育や健康状態を定期的に確認できます。
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