レスパイトケアとは 障害児・医療的ケア児の家族支援
レスパイトケアの概要
レスパイトケアとは、障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもを在宅で介護している家族に対し、一時的に介護から離れて休息をとれるよう支援するサービスです。「レスパイト(respite)」は英語で「休息」を意味します。
障害児や医療的ケア児の養育は、身体的・精神的に大きな負担を伴います。24時間365日のケアが必要な場合もあり、保護者の疲労や燃え尽き(バーンアウト)が深刻な問題となっています。レスパイトケアは、家族がリフレッシュする時間を確保し、長期的に安定した養育を継続するための重要な仕組みです。
障害者総合支援法および児童福祉法に基づくサービスとして位置づけられており、市区町村が実施主体となります。
サービスの種類
レスパイトケアに活用できるサービスは複数あり、子どもの障害の状況や家族のニーズに応じて選択できます。
短期入所(ショートステイ)
障害児入所施設や医療機関に子どもを一時的に預けるサービスです。宿泊を伴う利用が可能で、保護者の入院、冠婚葬祭、きょうだいの学校行事への参加など、さまざまな場面で活用されています。
日中一時支援
日中の時間帯に子どもを預かるサービスで、市区町村の地域生活支援事業として実施されています。放課後や休日の居場所としても機能します。
居宅介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問し、子どもの介護や家事援助を行うサービスです。保護者が在宅のまま休息をとったり、外出する時間を確保したりすることができます。
移動支援
外出時にガイドヘルパーが同行し、移動を支援するサービスです。子どもの通院や外出活動のサポートにより、保護者の付き添い負担を軽減します。
短期入所
短期入所(ショートステイ)は、レスパイトケアの中核的なサービスです。施設に子どもを一時的に預け、保護者が数日間の休息をとることができます。
福祉型短期入所
障害児入所施設や障害者支援施設で実施される短期入所です。食事、入浴、排泄などの日常生活の介護が提供されます。知的障害や肢体不自由のある子どもが主な対象です。
医療型短期入所
医療機関や医療型障害児入所施設で実施される短期入所です。人工呼吸器の管理、経管栄養、吸引など医療的ケアが必要な子どもに対応できます。医療的ケア児の保護者にとって特に重要なサービスですが、受け入れ先が限られているのが現状です。
利用日数
短期入所の利用日数は、障害支援区分や個別の支給決定により異なります。一般的には月に数日から十数日程度の利用が可能です。緊急時には追加の利用が認められる場合もあります。
日中一時支援
日中一時支援は、市区町村の地域生活支援事業として実施されるサービスで、障害のある子どもを日中の時間帯に一時的に預かります。
サービスの特徴
短期入所と異なり宿泊を伴わないため、比較的気軽に利用できるサービスです。放課後の時間帯や土日、学校の長期休暇中の利用が中心で、見守り、活動支援、食事の提供などが行われます。
実施場所
障害福祉サービス事業所、放課後等デイサービス事業所、社会福祉施設などで実施されています。自治体によってはNPO法人やボランティア団体に委託している場合もあります。
放課後等デイサービスとの違い
放課後等デイサービスは、療育や社会性の向上を目的とした通所サービスであり、個別の支援計画に基づいた活動が行われます。一方、日中一時支援は主に見守りと預かりが中心で、より柔軟な利用が可能です。両方を併用することもできます。
利用手続きと費用
レスパイトケアとして活用できる各サービスの利用には、事前の手続きが必要です。サービスの種類によって手続きの流れが異なります。
障害福祉サービスの利用手続き
- 市区町村の障害福祉担当窓口に相談
- 障害支援区分の認定調査(短期入所の場合)
- サービス等利用計画の作成(相談支援専門員が担当)
- 支給決定・受給者証の交付
- 利用する事業所との契約
費用の負担
障害福祉サービスの自己負担は原則1割ですが、世帯の所得に応じた月額上限が設定されています。市町村民税非課税世帯は無料、一般世帯(所得割28万円未満)は月額4,600円、それ以上の世帯は月額37,200円が上限です。
日中一時支援の費用
日中一時支援は地域生活支援事業のため、費用の設定は自治体によって異なります。無料としている自治体もあれば、1回あたり数百円の自己負担を設定している自治体もあります。
家族の心身のケア
障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもの養育は、保護者の心身に大きな負担がかかります。子どものケアを続けるためにも、保護者自身の健康管理とメンタルヘルスケアが不可欠です。
保護者のストレスの特徴
先の見えない不安、社会的な孤立感、睡眠不足による慢性的な疲労、きょうだい児への関わりの不足に対する罪悪感など、複合的なストレスを抱えている保護者が多いことが調査で明らかになっています。
休息をとることへの罪悪感
「自分が休んでいる間に何かあったら」「子どもを預けるなんて親として無責任ではないか」という罪悪感から、レスパイトケアの利用をためらう保護者もいます。しかし、保護者が心身ともに健康であることが、子どもにとっても最善の環境につながります。
ペアレントメンター
障害のある子どもの子育て経験を持つ先輩保護者が、同じ立場の保護者の相談に応じる「ペアレントメンター」の活動が各地で広がっています。同じ経験を共有できる相手の存在は、孤立感の軽減に大きな効果があります。
きょうだい児への配慮
障害のある子どものきょうだい(きょうだい児)も、家庭内で特別な立場に置かれがちです。きょうだい児の気持ちに寄り添い、個別に過ごす時間を確保することも大切です。きょうだい児の支援団体やイベントも活用しましょう。