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生活保護と子育て 子どものいる世帯の加算と支援制度

2026年3月28日 公開
約10分で読めます
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生活保護の概要

制度

生活保護は、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的とした制度です。日本国憲法第25条の生存権保障を具体化した制度であり、生活保護法に基づいて実施されています。

生活保護は、利用できる資産や能力、他の制度などを活用してもなお生活に困窮する場合に、最後のセーフティネットとして機能します。子どものいる世帯にとっては、子どもの健全な成長を支えるための重要な制度です。

生活保護で受けられる扶助の種類

  • 生活扶助:日常生活に必要な食費、被服費、光熱費など
  • 住宅扶助:家賃、地代など
  • 教育扶助:義務教育に必要な学用品費、給食費など
  • 医療扶助:医療サービスの費用
  • 出産扶助:出産に必要な費用
  • 生業扶助:就労に必要な技能の修得費用、高校就学費用
  • 葬祭扶助:葬祭に必要な費用
  • 介護扶助:介護サービスの費用
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子どもがいる世帯の加算

生活保護の生活扶助には、子どものいる世帯に対する各種加算が設けられています。基準額に加算されることで、子育てに必要な費用をカバーする仕組みです。

児童養育加算

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童を養育する場合に支給されます。児童1人につき月額10,190円が加算されます(3歳未満の場合はさらに増額)。

母子加算

ひとり親世帯(父子世帯を含む)に対して加算されます。児童1人の場合で月額約18,800円から23,600円(地域による)が加算されます。

妊産婦加算

妊娠中の方に対して、妊娠6か月未満で月額約9,130円、妊娠6か月以上で月額約13,790円が加算されます。

加算額は地域によって異なる
生活保護の基準額や加算額は、居住地域の級地区分(1級地から3級地)によって異なります。都市部ほど基準額が高く設定されています。正確な金額は福祉事務所で確認してください。
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教育扶助の内容

教育扶助は、義務教育を受けるために必要な費用を支給する制度です。小学校・中学校に通う子どもがいる世帯に対して、以下の費用が支給されます。

教育扶助の支給項目

  • 基準額:学用品費、実験実習見学費など(小学校月額約2,600円、中学校月額約5,100円)
  • 教材代:正規の教材として学校長が指定するもの
  • 学校給食費:実費
  • 通学交通費:実費(通学に交通機関を利用する場合)
  • 学習支援費:クラブ活動にかかる費用(小学校年額約16,000円、中学校年額約60,000円)

高校就学費用(生業扶助)

高校の就学費用は「生業扶助」として支給されます。公立高校の授業料、教材費、通学交通費、入学準備金などが対象です。高等学校等就学支援金と併用できるため、私立高校に通う場合も一定の支援を受けられます。

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受給中に利用できる支援

生活保護を受給しながら、子どもの健全な成長を支えるためにさまざまな支援制度を利用できます。

医療扶助

生活保護受給世帯は、医療扶助により医療費の自己負担がありません。子どもの通院や入院にかかる費用は全額が公費で負担されます。指定医療機関での受診が原則です。

学習支援事業

多くの自治体では、生活保護世帯や生活困窮世帯の子どもを対象に、無料の学習支援事業を実施しています。学習塾に通うことが難しい家庭の子どもに対して、大学生ボランティアなどが学習を支援します。

子どもの進学に関する取扱い

生活保護世帯の子どもが大学等に進学する場合、進学準備給付金として自宅通学で10万円、自宅外通学で30万円が支給されます。また、世帯分離の取扱いにより、大学生本人は生活保護から外れますが、住宅扶助は従前どおり算定されます。

奨学金は収入認定から除外
高校生や大学生が受給する奨学金のうち、学費や就学に必要な経費に充てられる部分は、生活保護における収入認定から除外されます。奨学金の受給をためらう必要はありません。
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申請方法と相談先

生活保護の相談・申請は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で行います。まずは相談し、制度の説明を受けた上で申請を検討しましょう。

申請の流れ

  1. 福祉事務所で相談:生活状況を伝え、制度について説明を受ける
  2. 申請書の提出:生活保護申請書と必要書類を提出する
  3. 調査:資産、収入、扶養義務者の状況、就労の可能性などが調査される
  4. 決定通知:申請から原則14日以内(最長30日以内)に結果が通知される

相談先

  • 福祉事務所(市区の場合は市区役所の福祉担当部署)
  • 町村にお住まいの場合は都道府県の福祉事務所
  • 民生委員・児童委員
  • 生活困窮者自立支援機関
申請は権利です
生活保護の申請は国民の権利であり、窓口で申請を断ることはできません。相談に行った際に申請を受け付けてもらえない場合は、「申請します」と明確に意思を伝えてください。それでも対応されない場合は、都道府県の生活保護担当課に相談することもできます。
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生活保護からの自立支援

生活保護制度は、最低限度の生活を保障するだけでなく、自立を助長することも目的としています。子どものいる世帯が自立に向けて利用できる支援を紹介します。

就労支援プログラム

ハローワークと福祉事務所が連携して行う就労支援があります。担当のケースワーカーや就労支援員が、求職活動のサポートや職業訓練の案内を行います。子育て中の方向けに、勤務時間や通勤距離を考慮した就労先の紹介もあります。

勤労控除

生活保護受給中に就労して収入を得た場合、収入の全額が保護費から差し引かれるわけではありません。基礎控除(収入に応じて一定額を差し引かない仕組み)があるため、働くことで手元に残るお金が増えます。

子どもの将来への投資

子どもの学習支援や進学支援を活用し、子どもが将来自立できるよう環境を整えることが大切です。高校や大学への進学は、貧困の連鎖を断ち切る重要な手段です。福祉事務所のケースワーカーに相談しながら、子どもの進路について計画を立てましょう。

参考
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