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ヤングケアラーとは 支援制度と相談先

2026年3月28日 公開
約10分で読めます
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ヤングケアラーの定義

ヤングケアラー

ヤングケアラーとは、本来は大人が担うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行っている18歳未満の子どものことです。2022年に改正された児童福祉法では、ヤングケアラーへの支援が国および地方自治体の責務として明記されました。

ケアの内容は多岐にわたり、病気や障害のある家族の介護、幼いきょうだいの世話、家事全般の担当、日本語が不自由な家族の通訳、精神的な問題を抱える家族の感情面のケアなどが含まれます。

重要なのは、家族の手伝いをすること自体が問題なのではなく、その負担が子どもの年齢や発達段階に見合わないほど重く、学業や友人関係、健康に悪影響を及ぼしている状態が問題であるという点です。

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実態と影響

厚生労働省と文部科学省が2020年から2021年にかけて実施した全国調査によると、中学2年生の約5.7%、高校2年生の約4.1%がヤングケアラーに該当する可能性があることが明らかになりました。

ケアの実態

  • 1日あたりのケア時間は平均約4時間、7時間以上の子どもも約1割
  • ケアの対象は、きょうだい(幼い弟妹)が最も多く、次いで母親
  • ケア内容は家事、きょうだいの世話、見守り、感情面のサポートが上位

学業や生活への影響

ケアの負担により、遅刻や早退が増える、宿題をする時間がない、授業に集中できない、部活動に参加できないなどの影響が報告されています。また、友人と過ごす時間が減り、孤立感を抱える子どもも少なくありません。

心身への影響

慢性的な疲労、睡眠不足、ストレスによる心身の不調を訴える子どもが多いことも調査で明らかになっています。しかし「自分がやらなければ」という責任感から、助けを求められない子どもが多いのが現状です。

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気づきのサイン

ヤングケアラーは周囲から見えにくい存在です。子ども自身が「自分はヤングケアラーだ」と認識していないケースも多く、大人が早い段階で気づくことが重要です。

学校で見られるサイン

  • 遅刻や欠席が多い、または増えてきた
  • 忘れ物が多い、宿題が提出できない
  • 授業中に居眠りをしている
  • 学校行事や部活動に参加できない
  • 友人関係がうまくいっていない様子がある
  • 急に帰宅を急ぐ場面がある

家庭で見られるサイン

  • 年齢に不相応な家事を担っている
  • 幼いきょうだいの送迎や世話を一手に担っている
  • 自分の時間がほとんどない
  • 疲れた様子や体調不良を訴えることが多い
本人に声をかけるときの配慮
ヤングケアラーの可能性がある子どもに声をかける際は、「大変だね」「つらいね」といった決めつけは避け、「最近どう?」「何か困っていることはない?」と穏やかに聞くことが大切です。本人が話したがらない場合は無理に聞き出そうとせず、いつでも話を聞く姿勢を示しましょう。
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自治体の支援策

2022年の児童福祉法改正を受け、全国の自治体でヤングケアラー支援の取り組みが進められています。支援の内容は自治体によって異なりますが、主に以下のような施策が展開されています。

実態調査の実施

多くの自治体が独自にヤングケアラーの実態調査を実施し、地域の状況を把握したうえで支援策を検討しています。学校を通じたアンケート調査や、福祉部門との連携による個別把握が行われています。

コーディネーターの配置

ヤングケアラー支援コーディネーターを配置し、関係機関との連絡調整や個別支援の計画立案を行う自治体が増えています。教育・福祉・医療の縦割りを超えた横断的な支援体制の構築が目指されています。

家事・介護サービスの提供

ヤングケアラーのいる家庭にヘルパーを派遣し、家事や介護の負担を軽減する事業を実施している自治体もあります。子どもが担っていたケアの一部を専門職が代替することで、子どもの時間を確保します。

ピアサポート

同じ立場のヤングケアラー同士が交流できるオンラインサロンや居場所づくりの取り組みも広がっています。自分だけではないと感じられることが、子どもの心理的な支えとなります。

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相談窓口

ヤングケアラー本人や、周囲で気になる子どもがいる大人が利用できる相談窓口を紹介します。相談は無料で、秘密は守られます。

子ども本人の相談先

  • チャイルドライン:0120-99-7777(18歳以下の子ども専用、毎日16時から21時)
  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(いじめや悩みの相談)
  • 児童相談所全国共通ダイヤル:189
  • SNS相談:各自治体がLINE等で実施(自治体のウェブサイトで確認)

保護者や関係者の相談先

  • 市区町村の子ども家庭支援センター(こども家庭センター)
  • 地域包括支援センター(介護に関する相談)
  • 障害者相談支援事業所(障害のある家族の支援について)
  • 学校のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
相談することは弱さではありません
助けを求めることは、自分や家族を大切にする行動です。一人で抱え込まず、まずは信頼できる大人や相談窓口に話してみましょう。状況を伝えるだけでも、次のステップが見えてくることがあります。
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学校と地域の連携

ヤングケアラーの早期発見と支援には、学校と地域の福祉機関が連携することが不可欠です。学校は子どもと日常的に接する場であり、変化に気づきやすい立場にあります。

学校の役割

教職員がヤングケアラーについての知識を持ち、日常の観察や面談を通じて早期に気づくことが重要です。文部科学省はヤングケアラーに関する教職員向けの研修資料を作成し、全国の学校に周知しています。

スクールソーシャルワーカーの活用

スクールソーシャルワーカー(SSW)は、学校と福祉機関をつなぐ専門職です。ヤングケアラーの家庭状況を把握し、必要な福祉サービスにつなぐ役割を担います。SSWの配置校は増加傾向にありますが、すべての学校に配置されているわけではないため、教育委員会を通じた相談も活用しましょう。

要保護児童対策地域協議会

各市区町村に設置されている要保護児童対策地域協議会(要対協)は、支援が必要な子どもの情報を関係機関で共有し、連携して対応する仕組みです。ヤングケアラーの支援においても、要対協を活用した関係機関の連携が進められています。

地域全体での見守り

民生委員・児童委員、自治会、子ども食堂の運営者など、地域のさまざまな大人がヤングケアラーの存在に気づき、適切な支援につなげる役割を果たすことが期待されています。地域全体で子どもを見守る意識を持つことが大切です。

参考
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